商業物件(オフィス・店舗)

シンガポールの商業物件の種類

オフィス(事務所)

建物全体を管理する家主の物件と一軒のみを所有する家主の物件がある。

オフィス物件は通常、床、照明、備品等何もない状態で引き渡しされ、契約終了後は同じ状態で明け渡しする(原状回復)。

中には前の借主からそのままの状態で引き取る条件付きの物件もあるが、条件や状態を事前に確認する必要がある。

この場合も、基本は通常何もない状態で明け渡しする。

サービスオフィス(Service Office)

オフィス家具や電話・ インターネットや電話等の通信が備えられているレンタルオフィス(個室有・無し)。

ロビーやOA機器や、会議室・ラウンジ等のパブリックスペースや、受付秘書によるビジネスサポートが利用可能。(サービスオフィスによって、設備やサービス内容は異なる)。

個室スペースは狭く、賃料は割高になるので、1名または数名のオフィスとしてはふさわしい。

ショッピングモール(Shopping Mall)

飲食店、小売店、美容サロン等が入る複合の商業施設をショッピングモールと呼ぶ。

繁華街のオーチャードを始め、東西南北の各地の都市化により数が増えている。

家主によりショッピングモールの家賃は基本賃貸料の他にGTO(gross turnover)の数%がかかる場合もある。

ショップハウス(Shop House)

ショップハウスとは、「店舗+住居」の家屋形式の建物で、基本的には2階建て。18紀後半にイギリス統治下であった時に作られた建物。

今ではHDBの下の階にあるものから、アジアの伝統と文化を感じさせる古い建物まで様々なタイプのものがある。

オフィス、飲食店、小売店などのビジネス形態によって登録は異なるので、事前に政府機関URA(Urban Redevelopment Authority)に確認が必要。

工場/倉庫 (Industrial)

工場・倉庫用の物件には、ビジネス1(B1)、ビジネス2(B2)、ビジネスパークの3つがある。

全体スペースの60%以上は使用のメインとなる工場や倉庫等のために使用されなければならない。

また残りの40%については事務所やショールームとして使用できる。

(1) ビジネスパーク: (Business Park)

ハイテク、研究開発等の公害排出がない産業。

(2) [B1]:軽工業(Light Industry) 公害排出のレベル

汚染や騒音のレベルの比較的低い繊維、雑貨、食品等の軽工業。

(3) [B2]重工業(Heavy Industry) 公害排出のレベル

汚染や騒音のレベルが比較的高い化学工業、鉄鋼業、機械工業、造船業等の重工業。

「商業物件」の初期費用 *3年契約の場合

(1) 手付金(Good Faith Deposit):家賃の1か月分。家主が借主のオファーを承諾した場合、1ヶ月目の家賃になる。

(2) 敷金(Security Deposit):通常家賃の3カ月分以上。*借主の事業実績、資本金、シンガポールでの設立年度による。

(3) 印紙税 (Stamp Duty):借主の負担。

(4) 仲介手数料 (Agency Commission):

家主(企業、個人等)により異なり、家主が仲介料を支払う場合と、支払わない場合がある。

家主が支払わない場合は借主が仲介料を支払う。 *契約1年につき「半月分の家賃 + GST (消費税)」を支払う。

契約期間(Lease Period)

オフィス、店舗(商業物件)の契約は家主によるが通常3年以上の契約。

賃貸契約の書類

(1)仮契約書(LOI: Letter of Intent)

LOIには借主の借りたい意思と契約上の条件とリクエストが記述される。

この際に借主は会社登記簿(BizFile)が必要。

仮契約書(LOI: Letter of Intent) の提出と同時に手付金(Good Faith Deposit) を支払う。

(2) レターオブオファー (LOO: Letter of Offer)

レターオブインテント(LOI: Letter of Intent)に承諾した後、大手企業の家主の場合はレターオブインテントに対しての条件としてレターオブオファーを発行する。

(2)レターオブオファーがない家主は、(1)LOIから(3)TAへ手続きが進む。

(3)本契約書(TA: Tenancy Agreement)

本契約書の締結を行う。

本契約書(TA: Tenancy Agreement) の提出と同時に敷金(Security Deposit Deposit) を支払う。

*(2)の際に敷金を支払う場合もある。

契約書のポイント

(1) 本契約書 (TA: Tenancy Agreement)

通常家主の弁護士が作成。 弁護士へ本契約書の作成費用(Administration Fee)は借主が支払う。

(2) 家賃(Rent)

家主が企業の場合は通常 GST(消費税)が加算される。

(3) 内装工事 (Renovation)

内装工事の前、通常家主へ内装プラン、申請書類等の提出、また内装のためのデポジット支払いをしなければならない。家主が承諾の上、内装工事が始まる。

(4) 保険

通常借主が「火災保険」(Fire Insurance)や「賠償責任保険」(Public Liability Insurance)*に入る。

*「賠償責任保険」 (Public Liability Insurance):賠償責任保険施設の所有・使用・管理等に起因する事故や,通常の業務遂行時の思いがけない事故により第三者の身体・生命を害したり(身体傷害)、第三者の財物を破損したりした際、法律上の賠償責任を補償する。

(5)契約途中の解約

通常、契約書に含まれず、基本的に不可能。 しかし、やむを得なく契約途中で早期解約を求める場合は、新しい借主を見つけ、これに関わる全ての費用(新しい家賃が今より低額の場合は補足の分の支払い、また仲介手数料等)を現在の借主が支払わなければならないので、支出は大きくなる。 また、通常敷金(Security Deposit)は返金されない。

(6)内装工事のための無料の賃貸期間 (Free Rent)

レターオブインテント(LOI: Letter of Intent)を提出する際、家主にオファーし家主がこれを承諾した場合のみ内装工事期間のFree Rentの期間が得られる場合がある。Free Rentの期間、有無については、家主や契約内容により異なる。

(7)エアコン

大きな商業施設では、通常セントラルエアコンなので、オフィスでは平日の決められた時間(朝から夕方まで)エアコンが稼働している。その他の時間帯については、家主への別途問い合わせが必要。

(8)駐車場

通常、駐車場の賃貸契約は別途に行う。 借りられる台数、料金は調べる必要がある。

商業物件のエリア情報

(1) セントラル・ビジネス・ディストリクト(CBD)

金融、商社などの大手企業があるビジネスの中心地 (CBD : Central Business District)で、

オーチャード、ラッフルズプレイス、シティホール、ブギス、チャイナタウン付近の中央商業地区。

ラッフルズプレイス Raffles Place / シティホール City Hall / タンジョンパーガー Tanjong Pager / マリナベイ Marina Bay

オフィス街の中心地で、東京の丸の内・大手町のような地区。Marina Bay Financial Centreは、シンガポールの金融のシンボル。

オーチャード Orchard / サマセット Somerset

東京の銀座、新宿、渋谷、表参道のような繁華街。アパレル店や飲食店や大手一流ブランドのフラッグシップショップが多い。

ブギス Bugis

東京の原宿、代々木のような地区。高層ビルも建設されている一方、原宿の竹下通りを思わせるブギスストリートがある他、ブギス駅周辺やアラブストリートには、伝統、文化を感じさせる古いショップハウスがある等、様々な趣がある。

(2) ブオナビスタ Buona Vista / ワンノース One North

東京の品川のような地区。バイオサイエンス、メディア、自然科学、エンジニアリングなどの施設やビジネスパークがある。

(3) ジュロンJurong / トゥアス Tuas

軽工業(B1)、重工業(B2)の工場、倉庫がある。ジュロン湖を中心としてジュロンイースト(東)とジュロンウェスト(西)に分かれ、工業団地がある。

(4) タンジョンパガー Tanjong Pager / ケッペル Keppel / ブラニ Brani / パシルパンジャン Pasir Panjang

「海運ハブ」と言われるシンガポールは、欧州、中東、東アジア、豪州の貿易中継地点である世界有数の取り扱い高の海運産業国。この4か所にはシンガポール港の主要なコンテナターミナルがある。

(5) チャンギ Changi

東南アジアの「航空ハブ」と言われるシンガポールの航空産業。チャンギ空港周辺には航空関連の企業が多い。

(6) パヤレバ Paya Lebar

シンガポールの空軍地区。工業団地や、車、オートバイをはじめ様々な業種のワークショップ(製作・修理などのための作業場)がある。 商業HUBとしての開発地区。

オフィスビル、住宅ビル、ショッピングビルをなどが建設され、地域開発が進んでいる。

(7) ウッドランズ Woodlands

ウッドランズのジョホール海峡付近の地域を中心に、住宅やビジネス団地などの開発が進められている。

工業団地がある他、食品加工や製造業など企業も多い。

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